2023年7月28日(金)19:00~20:30
第2回なまはげ網膜サテライトセミナーが2023年7月28日土曜日、にぎわい交流館あうでZoomウェビナーによるWEB配信および会場参加のハイブリッド開催で開催されました。今回は秋田大学の向後二郎講師と北里大学の庄司信行教授にご講演いただきました。
一般講演 「硝子体手術機器・顕微鏡アップデート2023」 秋田大学眼科学講座 向後二郎先生
近年、硝子体手術機器においては3Dデジタル化の波が押し寄せています。今回、向後先生には現在の顕微鏡システムとの見え方の違いや3Dデジタルならではの術中OCTとの組み合わせ画像などを紹介していただきました。それぞれの3Dデジタル顕微鏡システムでの見え方の違いや特徴なども動画を含めて提示していただき、3Dデジタル顕微鏡は今後の眼科手術において新しい潮流になることを感じました。また日本では出回っていない、あるいは研究・開発途中の新しい機器などの紹介などもあり、非常におもしろく興味深い御講演でした。
特別講演 「緑内障診断のポイントと手術の選択」北里大学眼科学講座教授 庄司信行先生 庄司先生には豊富な臨床経験と研究に基づいた緑内障診断のポイントを教えていただきました。 私たちが最近困りがちな近視を持つ緑内障患者さんについては、以前は典型的な緑内障の乳頭所見と視野障害例が多かったが、近視の患者さんが増えることによって近視性乳頭変化も含まれて非典型例が多くなったと非常に頷けるものでした。それを踏まえて非典型的な眼底所見をみた時に、1.眼底所見の対応の確認が大事:視神経乳頭、cpRNFD、GCLの対応、眼底検査や写真、OCTを総合的に評価する 2.対応する視野の確認をする:異常をみつけるための視野検査を心掛ける(特に中心10-2が重要)3.経過観察を大切に:変化をみなければ判断できないことも多い、これらのことを念頭に置きながら診断、治療するということでした。また視野変化としては中心に近い視野が障害されている場合は特に注意が必要で、中心近くの視野が障害され、かつ進行性を認めれるなら厳格な眼圧コントロールが必要であり、手術加療も適切な時期に行うことを考えるべきということでした。日常診療で曖昧で迷いがちであった部分をわかりやすくお話してくださり、大変有意義な御講演でした。