令和4年7月30日(土)<Retina expert conference in Akita>を開催いたしました

令和4年7月30日(土)にぎわい交流館AUあうにて,<Retina expert conference in Akita>が開催されました.会の趣旨としては,網膜研究で現在現在ご活躍をされている先生方の最先端の研究内容を紹介していただき,今後の我々の日常診療や研究に役立てたいというものです.2年前からこの時期に行おうとしておりましたが,できれば直接ご講演を拝聴し,可能であればその後にディスカッションした方がより勉強できるのではと思い,延期を一昨年,昨年としておりました.今年はいよいよリアルな会でできると思った矢先に今回のオミクロン株の新型コロナ感染症の激増で,急遽お二人の先生方は秋田に来ていただくことができず,またハイブリット開催となりました.

基調講演として,「網膜剥離の温故知新」について佐藤真理子先生にご講演頂きました.佐藤先生には,網膜剥離における,基礎的な内容として網膜剥離の種類,裂孔原性網膜剥離の診断のコツについて講演して頂き,最近の研究成果として網膜および脈絡膜の血管密度と構造的な変化との関連について講演して頂きました.裂孔原性網膜剥離後の短縮した網膜外層の回復に網膜深層の血流が関連しているとの内容でした.今後の研究の発展が期待されるものでした.

特別講演1は,「眼底イメージングを活用したRVO治療戦略」について東京女子医科大学眼科学講座 講師 長谷川泰司先生にご講演いただきました.長谷川先生はRVOの視力予後についてOCTやOCT angiographyでどのような所見がとらえるようになったかを教えてくださいました.中心窩網膜外層が盛り上がっているfoveal bulgeの意味として,錐体密度がが高いことによりfoveal bulgeが形成されるので,foveal bulgeが見られることは視力が良好であることを示唆するとのことでした.また,RVOに対する加療として抗VEGF剤が第一選択となっていますが,大規模studyの結果から詳細に説明して頂きました.またどの程度再発するのかを予測する因子として,OCT angiographyを活用されておられました.OCT angiographyで毛細血管が脱落している方がむしろ再発しにくい可能性があるとのことでした.

特別講演2は,「糖尿病黄斑浮腫の病態と治療」について国立病院機構 九州医療センター眼科医長 中尾新太郎先生にご講演いただきました.糖尿病網膜症特に糖尿病黄斑浮腫について詳細に講演され,大規模studyの結果から得られたDMEへの抗VEGF剤の治療効果,投与回数などについて理解を深めることができました.また,最近適応となったベオビューについての臨床成績についても講演して頂き,明日からの診療に役立つものとなりました.さらに後半です,ロボット手術について講演して頂き,近い将来に眼科手術でILM剥離などの細かい作業を行う際に手助けになるかもしれないという夢のある講演をして頂き,興味のある内容でした.

どの講演も普段何気なく診断や治療をしている網膜疾患に対して,あらためて考えさせられる貴重なものでした.今回はハイブリット形式で行われ,多くの先生方に視聴していただいた講演会となりました.

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