秋田大学の佐藤真理子先生の論文がJournal of Clinical Medicineに掲載されました

本論文では裂孔原性網膜剥離における網膜および脈絡膜の血管密度を詳細に調べました.裂孔原性網膜剥離では,剥離網膜では網膜毛細血管密度やchoriocapillarisの血管密度が減少しているとの報告があります.しかし,同一眼を撮像してもそれぞれの画像において,血管密度は多少異なり,特に術後などで画質の良くない場合では結果に影響を受けるとの報告もあります.多くの報告で比較対象は僚眼であり,同一眼の中で比較検討したほうがより正確な情報が得られると考えられます.そこで,黄斑が半分剥離している特殊な症例のみを抽出してOCT angiographyを用いて術後網膜血管密度を詳細に検討しました.網膜深層の剥離部位の血管密度は非剥離部位と比較して有意に減少していましたが,choriocapillarisの剥離部位における血管密度は減少していませんでした.さらに網膜深層の剥離部位の血管密度は網膜外層の構造的な変化と有意な関連が見られました.これらのことから,裂孔原性網膜剥離後の短縮した網膜外層の回復に網膜深層の血流が関連している可能性が示されました.

Differences in Vascular Density between Detached and Nondetached Areas in Eyes with Rhegmatogenous Retinal Detachment.

Sato M, Iwase T.
J Clin Med. 2022 May 19;11(10):2881. doi: 10.3390/jcm11102881.
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