秋田大学眼科では、研究における基本的な姿勢として、より良い診療を行うために研究を行うという考えで研究を進めています。従って、研究テーマは日常診療の中に存在します。日常診療を行っていると多くの疑問が湧いてきます。疑問の多くのことは先人たちが解明してきているので、本や文献を読むことで解決できます。しかし、調べても分からないことはまだまだたくさんあります。何か一定の法則(所見)はあるのだろうか。どのような治療法が、患者さんに最も良い結果をもたらすのであろうか。研究テーマが次々と出てきます。そのような疑問が研究のモチベーションになります。私たちが取り組んでいる研究テーマは以下のようなものです。皆さんが疑問に思うことは新しい研究テーマや新しい研究グループの礎になります。

硝子体手術研究

網膜硝子体疾患である裂孔原性網膜剥離、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前膜などの疾患を治療するのが硝子体手術です。近年、硝子体手術は目覚ましい発展を遂げ25-、27-guageなどの小切開経結膜無縫合手術と広角観察システムの普及により、比較的簡便、安全そして安定した成績が得られるようになりました。硝子体手術を、さらに安全にかつ効率よく行うための、手術手技の開発にも力を注いでいます。最近では、術中に脈絡膜剥離がみられた時に、簡便にその処置を行える手技を開発し報告しました(Iwase T, Retina, In press)。

硝子体手術研究

網膜硝子体疾患に対するOCT(光干渉断層計)を用いた研究

近年のOCTの解像度の向上は目覚ましいものがあり、網膜の構造をまるで組織を切り出して観察したかのように詳細に見ることができます。従って、網膜硝子体疾患の患者さんの外来診療には欠かすことのできない機器となっています。網膜硝子体疾患に対する加療の前後のOCT画像を詳細に検討することで、今まで動物実験でしか、確認できなかった知見を得ることができるようになりました。それらの所見を丁寧に調べることで論文としてまとめています。例えば、黄斑部まで網膜剥離を生じると視力が低下します。下記のOCTの画像のように網膜の外層の状態をよく観察すると、術後に視細胞層の障害が回復することで視力が向上することが分かります。

網膜硝子体疾患に対するOCT(光干渉断層計)を用いた研究

OCT Angiographyを用いた研究

眼底写真では描出できない黄斑近傍の毛細血管の観察を行うことができ、造影剤を用いる必要がないので,術後経過の頻繁な観察ができます。これらのことから、新たに硝子体術後の網膜血管の移動を詳細に調べる手法を開発しました。黄斑円孔術後には下記のように網膜血管が移動することを突き止め、詳細な検討を行っています。

OCT Angiographyを用いた研究

眼血流の研究

眼血流を計測できるレーザースペックルフルオログラフィーを導入しています。約4秒間で眼血流を簡便に撮影できるのみならず、内蔵されている解析ソフトを用いて、多くのパラメータを用いて血流状態を調べることができます。現在手術や加齢黄斑変性などに対する抗VEGF剤投与前後などで計測することにより、どのように疾患加療により血流状態が変化するかを調べています。下記画像はレーザースペックルフルオログラフィーより得られる画像で、投与後1週では網膜血流が一過性に低下しています。

眼血流の研究

IOLに関する研究

白内障手術の際にはほとんどの場合において、眼内レンズを挿入します。白内障単独手術と硝子体同時手術の際には眼内レンズの挙動が異なります。以前には前眼部解析装置(EAS-1000)を用いていましたが、現在では前眼部OCTを用いて検討を行っています。

IOLに関する研究

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